本当にユーレイルパスがお得なのか ~イタリア編~

日本の旅行会社に鉄道チケットを卸し続けて20年以上、 そんな鉄道マニア 白川純 がお届けするヨーロッパ鉄道の“奥が深い話”シリーズ。
今回はイタリアを周遊旅行する場合、ユーレイルパスを選択した方がいいのか単品購入した方がいいのかを選択するのに役立つ情報をお届けします。
ユーレイルパスという名前を聞いたことはあるでしょうか?
鉄道会社ではなく民間会社(Eurail社)が発売しているヨーロッパ鉄道の乗り放題券をユーレイルパスと呼んでいます。
約30種類あるユーレイルパスの一つに「ユーレイルイタリアパス」をここでは取り上げてみます。これはイタリア鉄道が乗り放題になる周遊券。1日乗り放題券を何枚もっていくかという感覚で日数(3日間・4日間・5日間・8日間)が設定されています。
ただ、気をつけなければならないのが昔のようにユーレイルパスだけでどの列車にも乗り放題と思い込むのは要注意!ローマやフィレンツェといった日本人の人気都市間はほとんどの列車がJRの“のぞみ新幹線”みたいに全席指定列車になっちゃっています。
目次
ディスカウントチケットの存在

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イタリアの高速列車は以下の2種類のディスカウントチケットが発売されています。
- 早期割引料金
早く購入すると安くなる割引チケット - 鉄道パス割引料金
ユーレイルパス所有者用の割引チケット
早期割引料金は文字通り購入するタイミングで料金が違って、早く購入するとより安く購入できる傾向があります。一方、鉄道パス割引料金は料金が変動することはなく一律料金なので料金計算が非常に簡単です。
イタリアの列車予約の具体的な購入事例

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それでは具体的な料金を夫婦2名で下記の旅程で見ていきましょう。
- 移動日1日目
列車番号9615 RomaTermini(09:20)→NapoliCentrale(10:32) - 移動日2日目
列車番号9520 NapoliCentrale(09:00)→FirenzeSMN(11:51) - 移動日3日目
列車番号9406 FirenzeSMN(09:30)→VeneziaSL(11:35) - 移動日4日目
列車番号9714 VeneziaSL(08:20)→MilanoCentrale(10:45)
上記行程の場合、一人当たりの料金(2017年11月現在)は以下になります。
- 単品購入(料金変動制)
合計14900(最安値)〜合計35700円(最高値) - ユーレイルパス併用
合計30100円
チケット購入時に単品購入合計が30100円を下回った場合、早期割引チケットを購入した方がお得!
それでもユーレイルパスを利用するメリット
誰もが安いチケットを購入したいと思いがちですが、実は料金の世界とは別の世界でユーレイルパスを利用するメリットに魅力を感じる人々もいます。それは何か?私が考える2つのメリットをご案内します。
乗り遅れた時の被害金額が少ない
旅はいつ何があるかわからない。予想外のトラブルに遭遇して列車に乗遅れた時、泣く泣く早期割引チケットをゴミ箱に捨てて、当日駅窓口で高額なチケットを新しく購入しなければならないリスクがあります。
鉄道パス割引チケットであれば距離に関わらず定額の1席1800円(2017年11月現在)の追加費用で別の列車が予約できるので、被害金額はたった1800円だけ!で済みます。
ユーレイルパスの特典が利用できる

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イタリアだけを周遊して帰る人もいれば、せっかくここまで来たのだからお隣のギリシャの島々へ出かけたいという人もでてきます。そこで活躍するのがこのユーレイルパス。ギリシャへ向かうフェリーの切符には、ユーレイルパス所有者用の特別料金という特典がある。しかも、なんとユーレイルパスは1日カウントされずユーレイルパスを持っているだけで最大半額になります。
チケット購入時に注意すべきこと
ネット上にいくつもオンライン予約サイトが存在します。
そこは自分が何を買えばいいのかをすべて自己責任で決めなければならない世界。もし間違ったチケットを購入して列車に乗車してしまうと、車内検札時に指摘された時“ごめん!ごめん!知らなかった! 正しい切符を今から購入します”は通用しないことがあります。
JRとは違い車内清算は原則ダメで不正乗車と判断されて高額な“罰金”を請求されることがあるので非常に恐ろしい。具体的にオンライン予約サイトで失敗しがちな例を見ていきましょう。
子供の年齢に注意
ネット上にあるオンライン予約サイトには子供を選ぶ選択肢はあるものの年齢の入力欄がないサイトも存在します。その場合、何歳まで子供料金で乗車できるのかをご自身で鉄道会社に確認しなければならないというリスクがあります。日本のJRと異なり乗車する列車によって子供料金の時もあれば大人料金になる時もある年齢もあります。
実際にイタリアでは切符を子供の年齢は列車によって以下の2種類があります。
- 4歳〜11歳まで子供料金が適用される列車
- 4歳〜14歳まで子供料金が適用される列車
もし12歳の子供と一緒に旅行する場合、大人料金で切符を購入する必要がある列車なのか?子供料金でも大丈夫な列車なのか?
結論をいうと
- FrecciaRossa機材:12才は子供料金
- FrecciaRgent機材:12才は子供料金
- FrecciaBianca機材:12才は子供料金
- FSインターシティ機材:12才は子供料金
- 在来線(R機材・RV機材):12才は大人料金
ちなみにユーレイルイタリアパスにおいて4歳~11才と一緒に旅行する場合、4才~11才は無料になります。12才は無料ではなくユース料金(12才~27才)になります。
もし11歳の子供と一緒に旅行する場合、安いと思って切符を早期割引料金で買ってしまったが11歳はユーレイルパスを無料になると後から知って、計算しなおすとユーレイルパスの方が断然安かった… ということもあるかも知れません。
ヨーロッパ鉄道チケットセンターの『おまかせ予約』を利用すると、子供の年齢を伝えるだけでユーレイルパスを購入した方が安いのか単品購入の方が安いのか、お勧めの組み合わせで回答をもらえます。
座席配列に注意
どのような座席配列で予約されるのか気になるところ。2名で旅行する場合、ネット上に多く存在するオンライン予約サイトでは実際に座席がバラバラに離れてしまった席でも予約されてしまうことがしばしばあります。特に“できるだけ近くの席を予約します”というような表示があるオンライン予約サイトは要注意!
その表示が意味するところは、“実際に座席がバラバラに離れて予約されても手配してしまいます”ということが多い。
ヨーロッパ鉄道チケットセンターの『おまかせ予約』を利用すると、申込人数にあわせてお勧めの座席配置で手配してご案内します(回答時に事前に座席配置をご案内されます)。
ユーレイルパスが適用されない座席に注意
イタリアにはFrecciaRossa(フレッチェロッサ)という最新鋭高速列車が運行している。この列車には魅力的な座席がいくつもありますが、ユーレイルパスが適用されるのは通常座席のみ。
それでは通常座席以外のユーレイルパスが適用されない座席とは何かというと、「プレミアム座席」「個室座席」「エグゼグティブ座席」の3種類の座席です。
自分にあった切符を安心して手に入れるにはどうするか

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それは信頼のおける“鉄道マニアがいる手配会社に“おまかせ”して頼んじゃうこと。
私の働いているヨーロッパ鉄道チケットセンターでは、鉄道マニアのスタッフが一般の方にもヨーロッパの鉄道チケットを販売しております。
盗難の心配を解決できる荷物置場近くの座席、景色の妨げとなる柱の位置を避けた座席、リクライニングしても気を使わない後ろが壁の座席など、“あなたには25号車の61番の座席がピッタリです!”というようにお勧めの座席を一番安い切符の組合せで探します。
ユーレイルパスを購入する前に