Italo

日本の旅行会社に鉄道チケットを卸し続けて20年以上、そんな鉄道マニア 白川純 がお届けするヨーロッパ鉄道シリーズ
今回はイタリアの高速列車イタロのお話です。
イタロとは
イタロはイタリアの私鉄です。イメージ的には鉄道版のLCC。格安を売りにして車内サービスよりも安さに趣を置いた列車です。
2種類(前期型と後期型)の機材を所有しております。
各機材の車両は4クラス(ClubExectiveクラス(特等)/Primaクラス(1等)/Comfortクラス(1等)/Smartクラス(2等))に分かれております。
イタロの運行路線

クラブエグゼクティブ座席
オープンサロンエリアとコンパートメントエリア(個室エリア)の2つに分かれます。
前期型は
オープンサロンエリアに11席
コンパートメントエリアに8席(四人個室が2部屋)
後期型は
オープンサロンエリアに10席
コンパートメントエリアに8席(四人個室が2部屋)
ちなみに国鉄のフレッチェロッサ機材にもイタロ機材のクラブエグゼグティブ座席に匹敵するエグゼクティブ座席が存在します。
イタロ(私鉄)とフレッチェロッサ(国鉄)を比較すると、空間や座席のクオリティにおいて国鉄の方に軍配が上がります。
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チケット代にケータリングサービス代(コーヒーを含むソフトドリンクとサンドイッチなどの軽食代)が含まれていります。
2名で利用の場合は一人掛け座席の向かい合わせがお勧め。注意点としては、後期型は上記の写真のように窓の位置はいい。ただ、前期型は真ん中に柱があり窓の位置が悪いのが弱点。
テーブル付一人掛け座席の向かい合わせは前期型に一つ/後期型に2つ。
テーブル付四人掛け座席は前期型及び後期型に各1つづつ設置されております。
ヨーロッパ鉄道チケットセンターで申込むと空席があればこの座席をお勧めしてご案内します。
コンパートメントエリアには前期型も後期型も四人用個室があります。
よりプライベートな空間を希望する方にお勧めです。
注意点として相部屋が可能の個室なので四人で予約しても四人一緒の部屋にならない危険があります。ヨーロッパ鉄道チケットセンターで申込むとは必ず四人が同じ部屋になるように確約して手配してもらえます。
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クラブエグゼグティブ座席の切符をお持ちの方は駅構内にあるイタロラウンジを利用できます。
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- ミラノ中央駅(Open 06:45-20:30)
- ローマ・テルミニ駅(Open 06:30-21:00)
- ローマ・ティブルティナ駅(Open 06:30-20:45)
- ヴェネチア・サンタルチア駅(Open 06:45-20:15)
- トリノ・ポルタヌオーヴァ駅(Open 06:30-20:30)
- ナポリ中央駅(Open 06:20-20:00)
- フィレンツェ・サンタマリアノヴェッラ駅(Open 07:00⊸21:10)
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盗難などが多いイタリアにおいて、列車の出発時間までゆったりとしたソファで過ごせるのは治安的にも安心です。
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飲み物やスナックなども常備されており、リラックスできる空間を体験できます。
列車の出発の3時間前から利用できます。
イタロ機材ではなく国鉄のフレッチェロッサ機材を利用する場合は、Italoラウンジは使用できませんが代わりにFrecciaClubラウンジを利用できます。
プリマ座席
プリマ座席は前期型には4両連結、後期型には3両連結されております。全車両がオープンサロンタイプのみで通路挟んで1席+2席の配列になっており、座席の向きは車両中央部に向いており車両の中央にテーブル付の向かい合わせ座席があります。
ウェルカムサービス(スナックとドリンク)と新聞サービスがあります。
イタロは進行方向が未発表の機材。よって2名で利用の場合はテーブル付一人掛け座席の向かい合わせを確保することで必ず1名は進行方向が確約できます。
4名利用の場合は全員で会話ができるテーブル付四人掛け座席を確保すること。
いずれのテーブル付座席は1車両に1箇所しかない貴重な座席です。ネット上に多く存在する予約システムの自動配列のオンラインサイトでは確保することが難しい座席です。
もしテーブル付座席のチケット争奪戦に敗れた場合は、隣同士座席を確保することになります。注意点としては景色の妨げとなる柱の位置を避けて確保すること。
コンフォート座席
プリマ座席のウェルカムサービスと新聞サービスがないのがコンフォート座席。プリマ座席よりも若干安い座席ですがすべてのイタロで発売されるわけではありません。経験上、人気のない時間帯の列車(売れ行きの悪い列車)などに乗客を誘導する為にプリマ車両の料金を安くしてコンフォート座席として売り出していると予想。
前期型は5号車のプリマ車両が時々コンフォート座席として発売されます。
後期型は3号車のプリマ車両が時々コンフォート座席として発売されます。
スマート座席
スマート座席は全座席がオープンサロンタイプで通路挟んで2席+2席の座席配列になっています。前述のプリマ座席と同様に座席の向きは車両中央部に向いており車両の中央にテーブル付の向かい合わせ座席があります。
通路も狭く窮屈です。更に、スマート座席利用者のみに鉄道には珍しく荷物の持込制限があります。大きめのスーツケースで旅行の方はスマート座席を利用できない可能性があります。スマート座席の利用を予定している場合は、下記に持込制限の大きさをご案内しますのでスーツケースの大きさを測ってチェックすること。
- 75㎝×53㎝×30㎝
私鉄(イタロ)vs国鉄
イタロの営業開始当初はミラノは中央駅に乗り入れさせてもらえなく、ローマもテルミニ駅に乗り入れさせてもらえない状況が長く続いた時代がありました(現在はどちらの駅にも乗り入れています)。また開業当時、国鉄が2クラス制(1等&2等)だったのに対してイタロは3クラス制(Club&Prima&Smart)でデビューしました。すぐにイタロの3クラス制に対して国鉄はFreccieRossa機材を一旦工場に戻して4クラス制にリニューアル。今度、国鉄の4クラス制に対してイタロもコンフォート座席を新設して4クラス制に。
このように熾烈な私鉄vs国鉄の戦いが繰り広げられました。私は鉄道好きなので安さよりも質を重視します。通勤利用など日常的に利用するのであれば安い私鉄の需要もあるとは予想されますが、遠い日本からイタリアまではるばるやってきたのであれば国鉄をお勧めします。
ヨーロッパ鉄道チケットセンタ-の『おまかせ予約』を利用した場合、該当区間に国鉄と私鉄(イタロ)が運行していた場合は、国鉄でご案内します。それは前述の質重視という理由の他に、料金重視のイタロであるにも関わらず複数国周遊される方にお得なユーレルパスに対応できていない(ユーレイルパス割引料金の設定がない)という弱点があることも私鉄(イタロ)ではなく国鉄をお勧めしてご案内している理由の一つです。
どうしてもイタロ機材を申込たい方は『通常予約』を利用するか、『おまかせ予約』の申告事項欄に「イタロ機材希望」と入力して下さい。