列車予約時の注意点(ユーレイルパス編)

日本の旅行会社に鉄道チケットを卸し続けて20年以上、そんな鉄道マニア 白川純 がお届けするヨーロッパ鉄道シリーズ
今回はユーレイルパス所有者が列車予約する時の注意すべきお話です。
まずは列車の種類から理解
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ヨーロッパの列車を「予約」という視点から分けると次の3つの列車に分けられます。
- 予約のできない列車=全席自由席の列車
- 予約のできる列車=任意予約の列車
- 予約をしなければならない列車=全席指定の列車
任意予約の列車とは
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全席自由席列車と任意予約列車の2つはユーレイルパスだけで乗車できます。たとえ満席でも立って乗車可能です。
ただ、長距離移動の時など絶対に立って乗車したくないと思った時に
- 指定券を追加購入できない列車=全席自由席列車
- 指定券を追加購入できる列車=任意予約列車
となります。
全席指定の列車とは
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全席指定列車は下記の2つの列車に分かれます。
- 指定券+乗車券の2枚のチケットで乗車する列車:ユーレイルパス所有者は指定券を購入
- 特別専用チケット1枚で乗車する列車:ユーレイルパス所有者は鉄道パス割引チケットを購入
❝追加料金❞という言葉を使うとどちらも同じですが、実際には大きな違いがあります。
空席があっても購入できないことがあるのが特別専用チケット1枚で乗車する列車。
最悪の状況とは
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注意しなければならないのが、後者の特別専用チケット1枚で乗車する列車。
ユーレイルパス所有者は特別専用チケットを割引料金で購入できます。ただ鉄道パス割引料金のチケット(ディスカウントチケット)は空席があっても購入できないことがあります。販売枚数が非常に少なく当日売り切れていることが多い。
このことを知らずに列車予約は当日に決めようと思っていると、ディスカウントチケットは売り切れていて通常料金のチケットしか残っていなく、ユーレイルパスの使用できる日数を余して帰国するという状況に陥る危険性あり。ひどい時はユーレイルパスを1回も利用できないで帰国するという最悪の状況になることも。
最悪の状況を避けるには
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ユーレイルパスは最後に買う。この一言に限ります。
最初に旅程(乗車する列車)を確定してからその旅程にあったユーレイルパスを買う。
- Step1:最初に列車が確定することで該当列車が特別専用チケットが必要かどうか判断が可能
- Step2:次に鉄道パス割引チケットが売り切れていないかチェック
- Step3:通常料金チケットしか残っていない場合はユーレイルパスの日数を減らしてユーレイルパスの料金を節約
ユーレイルパスを購入した後ではユーレイルパスの日数を減らすことはできません。
余談ですが
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ちなみに任意予約の列車は日本のJRとは異なり、指定席車両と自由席車両とに分かれてはいません。
全車両が自由席車両になっており、事前に予約されている座席には座席上部の位置、或いは、座席の横に予約区間が記載された予約札が差し込んであります(新型車両は電光表示)。
ただ乗車時に自分が予約した座席に他の乗客が座っていることはよくあることです。それはオーバーブックでありません。自分が予約した席に居座っている乗客に指定券を提示することでその乗客は他の席に移動します。
指定券なしで乗車した場合、当初予約されていない座席に座っていたら他の乗客がリアルタイムでネット上で予約したことに気づかずに座り続けてしまうこことも。指定券を持った乗客が来たら他の予約されていない座席へ移動しなければなりません。そういった意味でも長時間乗車する時は予め指定券を購入しておくと途中で席を移動しなければならないリスクを避けることができます。
どうせ指定券を予約するのであれば、進行方向の座席や景色の妨げとなる柱の位置を避けた座席などを予約したいところ。ヨーロッパ鉄道チケットセンターでは鉄道マニアのスタッフがお勧めの座席を確保してくれます。
ユーレイルパスを購入する前に